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被害者2人までは有期

日本において死刑判決を宣告する際には、永山則夫連続射殺事件で最高裁(昭和58年7月8日判決)で示した死刑適用基準の判例を参考にしている場合が多い。そのため永山基準と呼ばれ、第1次上告審判決では基準として以下の9項目が提示されている。

犯罪の性質
犯行の動機
犯行態様、特に殺害方法の執拗性、残虐性
結果の重大性、特に殺害された被害者の数
遺族の被害感情
社会的影響
犯人の年齢
前科
犯行後の情状
以上の条件のうち、たとえば4項では「被害者2人までは有期、3人は無期、4人以上は死刑」といった基準があるようにいわれるが、実際の判例では保険金目的殺人や営利誘拐殺人などでは被害者1人でも死刑(例:吉展ちゃん誘拐殺人事件)になるため、金銭がらみの殺人犯は極刑になる場合が多い。その一方で、被害者4人以上でも新宿西口バス放火事件(死者6人)や深川通り魔殺人事件(死者4人)では、「心神喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」という刑法39条に拠って、加害者の犯行時は心神耗弱であったことが認められ、法律上の刑の減軽として刑法68条1号の規定により、無期懲役の判決が確定する場合もある。

戦前に発生した最悪級の殺人事件であるが東京市電運転手連続殺傷事件(死者7人負傷者10人)でも加害者に対する朝鮮人差別が一因にあるとしたためか、無期懲役が判決されている。また、地下鉄サリン事件の実行犯である林郁夫は担当車両で2人を殺害したが、自首が情状酌量の要素として認められたためか、無期懲役となっている(サリンを製造しただけで実行には一切関わっていない土谷正実や地下鉄サリン事件の実行犯として担当車両で1人の死者も出さなかった横山真人が死刑判決を受ける中で、林郁夫は地下鉄サリン事件の実行犯としては唯一死刑を免れている)。そのため犠牲者数だけで機械的に死刑が適用されるわけではなく、判例に依拠しつつ犯罪の性質も含めて臨機応変に判断していると言える。

1990年代以前は犠牲者の人数が1人の場合には死刑にならないケースが殆どであったが、2000年代以降は犠牲者が1人でも死刑になるケースが急増している。例えば、2004年の奈良小1女児殺害事件では被害者遺族の処罰感情を重視し、被害者が1名であるにも関わらず死刑判決が下されている。2007年の長崎市長射殺事件においても被害者が1名の殺人事件で死刑判決が下された。更に、2009年3月18日には、闇サイト殺人事件??(被害者が1名)で、被告人3名のうち2名に対して死刑判決が下されている。また、「犯行態様が極めて残虐であり、共に同等の責任を負うべきである」として共犯2人が死刑になる場合(例:福岡病院長殺人事件)もある。なお、2004年に死刑判決が確定した警察庁広域重要指定118号事件では犠牲者2人に対し犯行グループ6人のうち3人(死刑求刑は5人)の死刑が確定しており、犠牲者数よりも多い人数の被告人に対して死刑が宣告されるケースも増えつつある。

ただし、何が「残虐」で、何が「残虐」でないかは極めて主観的な問題であり、客観性に乏しく、個別の事件で基準の違いが大きすぎるため、公正さが欠けている部分がある。また、同じような罪状であっても厳罰化と寛容化といった時代的要因(その時代における社会の空気・雰囲気)も重要な判断材料として存在するため、時期や裁判官の思想信条によって判断のバラつきがある。「被害者遺族が極刑を求めるのは当然」というステレオタイプで語られる場合が多いが、被害者遺族の感情は当然であるとしても、著しく量刑にばらつきがあってはならないとされており、難しい判断も要求されている。

また、加害者に重大な前科(軽微な交通違反などは除外)がある場合には死刑になる可能性が格段に高い。被害者一人の人違いバラバラ殺人事件や三島女子短大生焼殺事件ではいずれも前科があり、大阪地下鉄短大生強盗殺人事件では加害者に殺人の前科があり無期懲役の仮釈放中の強行であった。実際に最高裁判例(平成11年12月10日)も広島県福山市で発生した事件で「別の強盗殺人罪で仮釈放中に再び強盗殺人を犯したケースは死刑が相当」としている。そのため、江東マンション神隠し殺人事件では、検察も被害者遺族の処罰感情に基づいて死刑を求めていたが、殺害を最初から意図していなかったこと、証拠隠滅で遺体をバラバラにしたのは殺害後であったこと、そして被告人の性格は異様であったとしても逮捕歴がなかったことから、刑事法学者からは裁判官が死刑判決がだしにくい事件だったと指摘されている[11]。


死刑制度をめぐる地域別の現状 [編集]

ヨーロッパ [編集]
欧州連合 (EU) 各国は、不必要かつ非人道的であることを理由として死刑廃止を決定し、死刑廃止をEUへの加盟条件の1つとしている。このため、現EU加盟国に於いて死刑制度を存続している国は、軍法上で死刑制度を存続させているラトビアを除き、1ヵ国も存在しない(ラトビアもEU加盟に当たって、死刑の全廃を公約している)。

また死刑制度は欧州人権条約第3条に違反するとしている。そのため、欧州評議会においても同様の基準を置いているため、ヨーロッパ唯一の死刑存置国ベラルーシは欧州評議会から排除されている。また、EU加盟を目指しているトルコ共和国はイスラム教国であるが、死刑制度を廃止した。EUは日本やアメリカなど死刑を存続している他国に廃止を迫り、2001年6月には、日米両国に2003年1月までに死刑廃止に向けた実効的措置の遂行を求め、それが成されない場合、両国の欧州評議会全体におけるオブザーバー資格の剥奪をも検討する決議を採択した。これに対しては、日米両国は現在まで、何ら回答していない。

ロシアは、ソ連時代末期の1988年に当時の民主化と人道主義の観点から、死刑の適用対象から60歳以上の高齢者と経済犯罪を除外した。その後は非常に悪質な故意殺人に対してのみ死刑制度が存置されていた[12]。1996年の欧州議会加盟時に死刑執行を停止。1999年に憲法裁判所が死刑判決を正式に禁止した。しかし一部の下級裁判所は死刑判決を継続している。停止は2007年初めに期限切れとなる。ロシアが2006年5月に欧州評議会議長国に就任したことをきっかけに、ヨーロッパ諸国から死刑廃止議定書批准を求める声があがっている[13]。

以上のことから、死刑制度の廃止が欧州諸国のコンセンサスとなっているといえる。

アジア [編集]
アジアでは中華人民共和国やサウジアラビア、イランなどの死刑執行数が多く、また日本も先進国で唯一死刑執行が増加している。またシンガポールは厳罰主義であり、ありとあらゆる犯罪に対しても刑罰を加えていることで有名である。また北朝鮮では裁判によらない即決による公開処刑が行われているとの報道もある。なお、アジア諸国で死刑存置国はイスラム教国や東アジアに多い。なお日本の状況にについては日本における死刑を参照のこと。

中華人民共和国では殺人だけでなく麻薬犯罪や汚職事件で有罪になった場合も死刑になるほか、公開処刑が行われていた。これらは犯罪抑止力の為に必要と中国政府は主張しているが、中国の人権問題として国際社会の批判を受けている。なお死刑執行数は世界最大であり、2008年のアムネスティ報告書の調査によれば2008年に世界25カ国で少なくとも2390人の死刑が執行されたが、最多の中国は少なくとも1718人と、世界の死刑執行数の約72%を占ている[14]。世界人口の5分の1が中国に集中していることを考慮しても、世界の主要国の中では、死刑執行率も格段に高い。詳細については中華人民共和国における死刑を参照のこと。

中東諸国 [編集]
中東のイスラム教国では、死刑執行数が多い。インドネシアのように銃殺刑が法定刑であるが、イランやサウジアラビアではコーランの教えにある斬首刑や石打刑が行われている。アフガニスタンは麻薬の原料となるアヘンの供給国でもあるが、麻薬組織犯罪が処罰されるわけではなく、むしろイスラム原理主義武装勢力であるタリバーンが手がけている。イスラム教徒同士では禁じられている誘拐も異教徒に対しては横行している。そのため、このような死刑の目的は、犯罪抑止の為ではなくイスラム原理主義に基づく厳罰であるといえる。このイスラム原理主義的色彩の色濃いイランでは死刑の執行が多い。

サウジアラビアでは厳重な報道管制を敷いており死刑制度の実態については明らかではないが、人口当たりの死刑執行数は世界最多である。また死刑囚の大半はサウジアラビアに来た出稼ぎの外国人労働者であるとも言われている。また名誉の殺人は罰せられないため私刑が横行している上、神に対する冒涜を行った異教徒を殺すことは名誉の殺人であるとの判例があり、テロリスト輸出国になった原因だと指摘する意見もある。実際にアメリカ同時多発テロを引き起こした21世紀最悪のテロ組織「アルカイーダ」の上層構成員の出身地はサウジアラビアである。彼らはアメリカに組みするものに対するテロを「ジハード」と自己正当化しているほか、イスラム教では自殺を禁忌されているにもかかわらず自爆テロすら正当化している。ゆえに死刑の存在が犯罪の抑止にならず、歪んだ解釈でむしろ助長していさえしている。なお殺人であってもコーランに被害者遺族が許した場合には死刑の執行が免除されるとある。そのためサウジアラビア人同士の場合、金銭による示談で死刑を免れているといわれている。

その反面、出稼ぎ労働者については死刑になる場合が多く、窃盗罪で死刑になったほか、サウジアラビア特有の倫理観により、強姦被害を訴え出た者が証拠不足で死刑になるケースも存在する。詳細はサウジアラビアにおける死刑を参照のこと。

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2009年04月09日 11:31に投稿されたエントリーのページです。

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